上が電子タバコの一種。カートリッジにリキッドが入っていて、それを電気的に加熱して蒸気にし、吸い込む。下は、日本国内で販売されている加熱式タバコの製品群。電子タバコの写真撮影筆者、加熱式タバコは製品広告
また、2010年12月に出された電子タバコに対する厚生労働省の見解としては、
・ニコチンを含む電子タバコは、医薬品医療機器等法(薬機法。旧薬事法)に基づく承認(有効性や安全性などの確認)が必要。
・これまで国内で承認された製品はない、薬機法上の未承認の医薬品。
・品質、有効性、安全性が確認されていない。
・ニコチン以外の有害な物質が含まれる事例が報告されている。
・ニコチンを含む電子タバコをネットなどで個人輸入するのは望ましくない。
としている。
葉タバコを使う加熱式タバコ
一方、加熱式タバコは、JTのプルーム、海外のアイコス、グローがあり、プルームは国内での製造販売が、アイコス、グローは輸入販売が許されている。これらは器具とタバコ・スティックを合わせた製品名だが、タバコ・スティックは葉タバコを使っているため、たばこ事業法におけるタバコ製品となる。
加熱式タバコのアイコス(左)は、タバコを吸う器具とタバコ・スティックの製品名だ。アイコスのスティックは葉タバコを使っている。アイコスのスティックの中身(右上)と紙巻きタバコの中身(右下)。写真撮影筆者
電子タバコは、ニコチン・リキッドを使わないものしか国内では流通していないはずだが、実際には輸入して店頭販売やネット販売などが行われている。もちろん、これらは違法だし、厚生労働省のアナウンスにあるように有害性のあるものもあり、危険な行為だ。
タバコ関連の多くの製品は、依存性を高めるため、ニコチンを入れている。タバコ会社は、あの手この手で依存性を維持しつつ、新たな製品を出してきたが、加熱式タバコもその一つだ。
電子タバコを含む、これらのニコチン・デリバリー製品を「新型タバコ」というが、この意味するところは新型インフルエンザ、新型コロナと同じ、新たな「感染症」と位置づける研究者も多い。
加熱式タバコも電子タバコも「新型タバコ」だが、日本では加熱式タバコが、欧米ではニコチン入りの電子タバコが広がりつつある。図作成筆者。
以上をまとめれば、日本の法律では葉タバコを使わないとタバコ製品ではなく、ニコチン・リキッドは規制され、ニコチン・リキッドを使う電子タバコは個人使用以外は違法となる。加熱式タバコは葉タバコを使うタバコ製品だが、ニコチン・リキッドを違法に使った電子タバコも国内で流通しているということになる(石田雅彦)。